The Five Points

歴史をたった5つのポイントだけで整理するブログ

世界史をたった5つのポイントだけで整理してみた【Point1】

神話による組織マネジメント

 

人類が最初に組織マネジメントの道具にしたものは「神話」でした。

神話の誕生は農業革命以前の人類がまだ狩猟採集をしていた時代だったと言われています。

 

神話が生まれる前は、自分が常日頃から仲良くしている家族や知人までしか協力関係にありませんでしたが、神話が生まれた後は、同じ物語を共有することによって全く知らない人でも協力関係を結ぶことができました。

例えば、A集団とB集団は同じ山の神様を信仰しているのだからお互いに協力しよう、という具合です。

 

そのことによって、人類は外敵から身を守ることができましたが、移動しながらの必要十分の生活では集団の規模はあまり大きくなりませんでした。

神話が本格的にその威力を発揮するのは農業革命を経てからになります。

 

【問題意識】人口の増加による無秩序

前回のおさらいになりますが、農業革命によって人口は飛躍的に増加しました。

なぜなら、農業は定住を可能にし、多くの食料を同じ場所で生産できるようになったからです。

 

しかし、ここで問題が生じます。

今までは多くても数百人だった集団が、急に短期間で何千、何万人もの規模に膨れ上がっていったため集団の秩序を保つことが難しくなってしまったのです。

 

例えば、土地や資源を巡って争いが生じ、窃盗や殺人などが横行しました。

この問題を当時の人々はどのように解決したのでしょうか。

 

【解決策】神話に裏付けされた法制度

この問題の解決策は神話に裏付けされた法制度を整備したことです。

「目には目を、歯には歯を」で有名なハンムラビ法典を例に挙げてみます。

 

ハンムラビ法典は、古代バビロニアを統治したハンムラビ王がつくった法典のことです。

内容は、法律と裁判の判決を集めたもので、282の条文から構成されていました。

例えば、196条:もし男が他の男の目を傷つけるならば、彼はその男の目を傷つけなければならない

 

なるほど、偉い王様が法律をつくって人々を統制したのか、とそれだけで留まったらこのことの本質を理解したとは言えません。

 

当時のバビロニアは世界最大の国で人口は百万人を超えていました。

百万人の中の大多数の人が王様の言うことに反発して反乱を起こしてしまったら、法律などその効力はたちまち無効になってしまいます。

 

ハンムラビ王はこの法典の中で次のように語ります。

「我はハンムラビ、高貴な王なり、エンリル神によって我に委ねられ、マルデゥク神によって導くよう任された…」

 

エンリル神やマルデゥク神はメソポタミア神話の中に登場する神々です。

つまり、ハンムラビ王はハンムラビ法典は神の啓示を受けた私が書いた法典だとして、神話によって法典の権威づけをしているのです。

 

要するに、ハンムラビ王は神話によって法典の権威づけをすることで、人々が神話を信じている間は法典の効力は有効となり、集団の秩序が保たれるという仕組みによって人々を統制したことがこのことの本質なのです。

 

まとめ

このように、古代の人々は農業革命による人口増加で発生した集団の組織マネジメントの問題を、神話に裏付けされた法制度によって解決しました。

ちなみに、ハンムラビ法典の例以外にも、古代では各地でその地域に根ざした神話を使った社会がたくさん生まれています。

ただの想像の物語が力を持ち始めるのは現在の私たちにはとても不思議な感じがしますよね。

 

さて、次回は今回の道具がさらにアップデートされる様子を書いていきます。

 

このブログが面白いと思った方は、★・読者登録よろしくお願いします!