The Five Points

歴史をたった5つのポイントだけで整理するブログ

世界史をたった5つのポイントだけで整理してみた【Point2】

一神教による組織マネジメント

 

次の道具は一神教です。

まずは一神教の成立の過程を見ていきましょう。

 

前回の記事では人類は集団をまとめる道具として神話を道具にしたとお伝えしました。

その時の神話はもれなく全て多神教でした。

 

多神教とは複数の神々を同時に崇拝する宗教のことです。

例えば、ギリシヤ神話では太陽の神アポロン、大地の神デメテル、海の神ポセイドン天空の神ゼウスといったようにたくさんの神々が物語に登場します。

 

世界各地の王様たちはその土地に由来の多神教を道具に国を治めていました。

 

古代エジプトも例外ではなく、多神教を信仰し国を治めていました。

ある時、エジプトの王は宗教改革を行います。

新しく唯一神アテン神という神をつくり、それ以外の神は偽物だとして他の全ての神の存在を否定したのです。

これが初めて一神教が誕生した瞬間です。

この改革の背景は、エジプトで宗教を司る神官が力を持ち、政治に介入するようになったので権力を王自身に集中させたいがためでした。

しかし、その時は周囲から猛反発があったため、うまく機能せずすぐに一神教は消滅してしまいました。

 

けれども、その時エジプトにヘブライ人がいたことで歴史は大きく変わっていくことになります。

へブライ人はエジプトでの一神教の要素を取り入れ、自身の宗教のユダヤ教一神教にします。

ユダヤ教モーセ十戒で有名な宗教です。

しかし、ユダヤ教民族宗教であったため、その影響はユダヤ民族の中だけに留まっていました。

 

そして、キリストが登場します。

彼が行ったことは律法を厳格に守る選民的で閉鎖的なユダヤ教から、愛と慈悲を強調した人を選ばない開放的なユダヤ教への改革でした。

当時の貧しく社会的立場の弱いユダヤの人々に広く受け入れられるのでした。

キリストの死後その弟子たちが一神教の新しい宗教キリスト教を成立させます。

キリスト教は始めは当時ヨーロッパの覇権を握っていたローマ帝国で弾圧されていましたが、後にローマ帝国に公認され、またその後にローマ帝国の国教になります。そして世界宗教へとなりその影響力を拡大していきました。

 

このようにして一神教は成立し、社会に受け入れられていきました。

 

それでは多神教にどのような問題があったのかと、一神教がその問題をどのように解決したのかをみていきましょう。

 

【問題意識】多神教の異なる神々の信仰による対立や混乱

多くの国で成立していた多神教による統治には問題がありました。

それは異なる神々を信仰する者同士の対立や混乱でした。

 

例えば、古代ギリシアでは、アテネとスパルタはそれぞれ別々の守護神を信仰していたためその違いによって幾度となく戦争をしていました。

また、古代エジプトでは王が神聖視され王と神との関係が統治に深く関係していたため、異なる信仰が対立を生み権力闘争や内乱が度々発生していました。

 

このように、多神教による統治は神が複数存在するため、異なる神を信仰する者同士の対立、争い、混乱が起こるという問題を抱えていました。

 

【解決策】一神教の統一された信仰体系

それでは一神教多神教のこれらの問題をどのように解決したのでしょうか。

解決策は一神教の統一された信仰体系です。

 

一神教の特徴は神は一柱のみとすることです。

他の神を一切認めません。

そのため、他の異なる神を信仰することによる内乱や対立が起きることを防ぎ、絶対的な倫理規範や法律によって社会に安定した秩序をもたらすことができました。

 

例えば、ローマ帝国キリスト教が公認された時のことです。

当時のローマ帝国は弱体化しており、国が四つに分裂していました。宗教は多神教を信仰していました。

その時の皇帝は多神教の世界観では複数の頂点があり得るのでそれが帝国の分裂を準備すると考え、頂点が一つであるキリスト教を公認しそれを道具に帝国の統一を図ります。

そして見事ローマ帝国を再び統一することに成功します。

 

このように、多神教の秩序の問題は一神教の統一された信仰体系によって解決することができました。

 

まとめ

まとめると、一神教古代エジプトでその萌芽を見せ、ユダヤ人によって体系化され、キリスト教によって世界宗教になり世界に広がっていきました。また、一神教多神教の異なる神々の信仰による対立や混乱の問題を、統一された信仰体系によって解決しました

 

しかし、皆さんご存知のように宗教での対立は続きます。

なぜなら、一神教にも異なる宗教が生まれてきたり、同じ宗教の中でも異なる宗派に分裂していくからです。

 

そのあたりを含めて次回は見ていくことにしましょう。

 

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