The Five Points

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世界史をたった5つのポイントだけで整理してみた【Point3】

資本主義による組織マネジメント

次の道具は「資本主義」です。

資本主義とは利潤の獲得を目的とする社会制度のことです。

 

前回までの多神教一神教による秩序は、神という概念を道具にした土地と支配の安定性を目的とした封建制度でしたが、資本主義はそれらの社会制度のアンチテーゼとして登場しました。

 

それでは、資本主義の成立の過程を見ていきましょう。

 

まずは、前提となる資本主義が成立する前の社会についてお伝えします。

中世ヨーロッパは古代ローマ帝国キリスト教を国教にして以来、キリスト教が秩序の土台にありました。

しかし、キリスト教は複数の宗派に分裂し、ヨーロッパは異民族の大移動によりいくつかの国が分立しました。

 

ヨーロッパの秩序で最も影響力を持っていたのはキリスト教の正統派の宗派であるカトリックの長、ローマ教皇でした。

各国の王はそのローマ教皇に認めてもらうことで権威を獲得し国を治めることができるという構図でした。

 

各国の王は家臣に土地を与えることで主従関係を結びました。

家臣は土地をもらった代わりに軍役を果たします。

このような主従関係による社会を封建社会と言います。

 

その頃、中東にて別の一神教であるイスラム教の国が勢力を拡大していました。

そしてヨーロッパのキリスト教圏の国とイスラム教圏の国で戦争が起こります。

ヨーロッパ側はローマ教皇の命令で十字軍を派遣しますが、失敗に終わり、ローマ教皇の権威は低下します。

 

ここまでが資本主義が成立する前の社会、前提となる部分です。

 

ここから、封建社会から資本主義への変化についてお伝えします。

変化には大きく分けて二つの変化がありました。

それは物質的な変化精神的な変化です。

 

まずは物質的な変化である生産力の変化です。

中世ヨーロッパでは食文化が多彩になりアジアの香辛料の需要が拡大します。

しかし、陸路でアジアにいくためには中東を通る必要がありますが、対立していたイスラム教の国がそのルートを塞いでいました。

そこでヨーロッパの国々は海路でアジアに行こうとします。

大航海時代の始まりです。

 

ヨーロッパの各国が海路でのアジアへのルートを模索している中で、偶然にも新大陸アメリカを発見します。

新大陸では大量の銀が発掘されるなど、資本主義が発達するために必要な資金の蓄積が起こりました。

 

その後イギリスで産業革命が起こります。

この手工業から機械工業へと変化する技術革新によって、生産性が爆発的に向上しました。

 

次に精神的な変化である関係性の変化です。

まず大航海時代により既存の価値観の外を知ったヨーロッパで宗教改革が起こります。

中世ヨーロッパでカトリック教会は絶大な影響力を持っていましたが、その一方で既得権益を持っていた聖職者は天国に行ける券(贖宥状)を売るなど俗にまみれていました。

そこでカトリックに抗議する形でキリスト教の新しい宗派プロテスタントが生まれます。

その中でもカルヴァン派は資本主義の発展に大きな影響を及ぼします。

カルヴァンは今までは教会に寄付をすることが神を信仰することだったのを、自分の仕事をしてお金を蓄積することが神への信仰だという勤勉と節約の精神へと変革しました。

それによって富を蓄積し豊かになる平民が生まれ、封建的な関係を崩壊させていくことに繋がりました。

 

その後市民革命が起きて封建的な関係の崩壊が決定的なものになります。

イギリスの名誉革命やフランスのフランス革命は封建的な関係を崩壊させ、国民主権の国家を誕生させました。

人権という概念が生まれ私有財産が認められる法制度が整備されました。

 

資本主義を論理的に裏付けたのはアダム・スミスでした。

個々人が利己心に従って自由に自己の利益を追求しても、神の見えざる手によって社会は調和してうまくいくと説き、国家に経済の規制をするより、市場で自由に取引させた上で税金を取ることの優位性を提示しました。

 

このようにして物理的な変化と精神的な変化が相まって、これまでの封建制度は崩壊し、資本主義が成立し拡大していきました。

 

それでは資本主義は封建制度のどんな問題を解決したのか見ていきましょう。

 

【問題意識】社会の階層構造が固定化された封建制度

封建制度では土地の所有を中心とした社会制度でした。

神を基準としてローマ教皇→王→貴族→平民などの階層構造があり、その中でも土地を所有できたのは一部の特権階級だけでした。

特権階級は土地を平民に貸出し、平民は借りた土地で生産物を生産し特権階級に税を納めます。

 

この制度の問題点は何だったのでしょうか。

それは階層構造が固定化して変わらないことです。

平民はどれだけ頑張っても平民のままでしたし、生産してできた余剰分は全て特権階級に吸収されてしまします。

なので、人々はそもそも生産性を上げようという概念を持つことができず、経済は発展しませんでした。

 

【解決策】個人の自由と競争を促した資本主義

そこで資本主義が登場しこの問題を解決しました。

まず個人や人権、自由と平等という概念を作り階層構造を破壊しました。

そして法制度で私有財産の所有や、市場経済での自由な商品の売買を認めました。

そうすることで、人々は頑張れば頑張るほど富を蓄積できるので階級の動きを可能にし、経済的な動機付けが高まりました。

また、生産性を上げるために技術革新が起き、急速に経済は発展していきました。

 

まとめ

まとめると、資本主義の前の社会の封建制度から、物質的な変化として大航海時代による資金の蓄積と産業革命が起き、精神的な変化として宗教改革市民革命が起き、資本主義が成立しました。

資本主義は封建制度の社会の階層構造が固定化され経済発展しない問題を、個人の自由と競争を促すことで解決しました。

 

資本主義が成立する過程は色々な角度で変化が重なって起きているので歴史の大きなうねりのようなものを感じますね。

 

さて、次回は資本主義に対するアンチテーゼとなるものが登場します。

 

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